SPEEDI君はなぜ 私達に姿を現さなかったの?

 

「こんにちは! 僕 SPEEDI(スピーディ)君だよ! 正しい名前は「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」って言うんだ。S(システム)P(予測)E(環境)E(非常時)D(投与量)I(情報)から名前がついたんだよ。僕はみんなを原子力の災害から守るために開発されたけど、ふくしまの原発事故では、まったく役に立てなくて悔しい思いをしたんだ。じゃあなぜ、僕がみんなの役に立てなかったのか考えてみよう!

 

僕はこの文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターの中で活躍しているんだよ!僕のことをとってもよくわかる資料がこのパンフレットなんだ(PDF)夏休みの自由研究にも役立ててね!

http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/download_data/speedi.pdf

本部は東京都文京区に、青森県六ヶ所村にも関連の建物があるんだ。

 

これがパンフレットの2ページ目だよ!赤いのが僕だから、緊急時に最前線でみんなを守るオフサイトセンターや、総理大臣のいる原子力災害対策本部に進言する文部科学省経済産業省の原子力安全・保安院気象庁みんなの県ともつながって利用されるんだ。でも原子力安全委員会とか原子力安全・保安院って同じような名前が似ているから、ややこしいよね。それにしてもこんなにも多くの施設がみんなの安全を守ってるんだね!

 

 ぼくの計算ってはやいんだぞ!

   

 

    こういうデータが使われるんだよ!

   

 

     どのくらい出ているかも大切な情報

    

 

 でもね・・・・・・どんなにぼくが進歩しても、実際にデータを打ち込むのは人間なんだ!

 

 だから、どのように事故がおきたのか、その状況を復習しておくことが大切なんだ! 

 

2011年3月11日にタイムマシンでGO!

 

 

月 日

福島原発で何が起こっているの?

国や県、私達は何をしていたの?

◆国 ◇県 〇私達住民

311日(金)

・地震直後

 

 

1455

1527

 

 

 

1903

 

1930

2110

 

2323

 

/////////  1446分地震M9発生   //////////////////////////////

●1〜3号機自動停止 4〜6は点検中により停止していた。原発敷地内の揺れは原子力安全・保安院の言う安全耐震最大値の4分の3程であった。

/////////   数回にわたる津波 福島は3回 ///////////////////

●ディーゼル発電機が津波で大破 オイルタンクも流された。電源喪失。非常用炉心冷却装置や冷却水循環機能を喪失。東京電力は第一次緊急態勢を発令経産大臣(海江田)福島県知事(佐藤)大熊町長、双葉町長等に連絡。

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〇車道が渋滞。ガソリンスタンドはすべて閉まっていた。子どもの安否を確認したい親の気持ちとは裏腹に携帯電話は不通になった。

〇揺れ続く大きな地震の中、電気は復旧せずに水道も止まった。暗い部屋でラジオだけが情報源となった。東北6県の停電は約440万戸に及んだ。

 

◆枝野官房長官 原子力緊急事態宣言発令

1号機の半径2キロ以内の住民に避難指示

◆自衛隊に原子力災害派遣命令

◇福島県が独自に福島第1原発2号機から半径2キロの住民に避難を呼び掛け。

◆菅直人内閣総理大臣が1号機から半径3キロ以内の住民に避難命令。3キロ〜10キロ圏内に屋内待機の指示。

◇深夜に福島県庁原子力安全対策課にSPEEDIのメールが届くが避難読んでいる状況ではなかった。

312日(土)

049

 

305

 

614

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1017

1412

 

1430

 

1529

 

 

1536

 

 

 

 

1955

2020

21時前

 

 

1号機の原子炉格納容器圧力が異常に上昇 120分に東電が通報した。

●海江田経産相は原子炉格内容器の破損を防ぐために容器内の蒸気放出作業(ベント作業)の実行を発表。

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6時「とにかく西へ逃げて!」 16時「ヨウ素剤飲んで!」

 

●電源喪失のためベントは手作業でやるしかなく難航。

●原子力安全・保安院が1号機の周辺でセシウムの検出を確認核燃料の一部が溶け出した可能性を示唆。

●ベテラン作業員ひとりの手によりベントが成功 作業後病院に搬送

●原発敷地内のモニタリングポストのうち、飯舘村方向にあるポストで1015μsv/hを検出。しかし東電の発表は正門側の3桁低い55μsv/hの値を発表した。

//////////////  1号炉水素爆発 白い煙が確認 ////////////////

      

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●海水を注入したが2215分に地震のため一時中断。

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海水の一時中断は、東電は真水を注入する準備がなくなり、海水を注入するしかなかった。現場は官邸に許可を得る余裕も無かった。官邸が怒っているとの報告に一時中断とされる。

 

〇こんな朝にも新聞が届いて本当にうれしかった。配達人がうれしそうに手渡ししてくれた。

 

菅総理 陸自ヘリで福島第1原発へ出発。同行した班目春樹原子力安全委員会委員長に首相は「爆発するのか?」の問いに「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。執務室に首相が戻ってきたのは11時。「1号機は爆発しないよ!」とみんなに言った。

菅首相   斑目委員長

◇福島県の原発安全担当者、片寄正巳氏は、原子力をかじったことのある者としてベントがいかに急務であるかは知っていたが、地元の行政担当者としては、どうぞ放射能をまき散らして下さいとはとても言えなかったと語った。知らせを聞いた知事は、ただうなずいたという。

「直ちに健康に被害をおよぼす数値ではありません。」「繰り返し申し上げますが・・」

 

1号機の海水注入を内閣総理大臣が指示。

 

◆枝野官房長官発表 水素を含んだ蒸気が原子炉格内容器内から漏れ、建屋内に充満して発生した水素爆発であり、原子炉格内容器に損傷が無いと報道した。

313日(日)

123

244

415

538

 

841

 

1255

1312

1310

 

●中断した海水注入作業が再開

3号機非常用炉心冷却装置の高圧注水系が停止

●燃料棒が露出し始める。

3号機冷却装置注水不能として通報。格内容器の圧力上昇のため、1号機同様ベントの準備。海水注入を検討。

3号機のベント開始 放射線量の上昇 

 

●燃料棒1.9メートルが冷水から露出。

3号機原子炉に海水注入。

●汲み上げ場所の海水が少なくなり注水の停止

 

◇朝の段階で福島県庁原子力安全対策課がSPEEDIの情報を国に問い合わせる。単位あたりのSPEEDIの予測は「安全」になっている?きちんとした情報が国からは何も来ない!(片寄久巳主幹)

〇飲み水やトイレを流す水が無く苦労した。

◇福島県が22人の被曝を確認したことを発表した。しかし1号機も3号機も十分な水位すら保てないまま燃料は露出したままだった。

314日(月)

110

750

 

1101

 

 

 

 

 

 

 

1325

 

 

1634

 

 

1945

2137

2339

 

 

●汲み上げ場所の海水がなく1号機と3号機の海水注入停止。

「冷却機能損失」に陥り、国への通報となる。

 

///////////   3号機の建屋が水素爆発   //////////////////////

●大量の灰褐色の煙が立ち昇る。1号機と比べずっと高くまで上がり、炎が上がる様子も見られた。

 

●安定していた2号機でも原子炉内に冷却水を送り込むことができなくなった。「冷却機能損失」に陥り、国に通報。

 

2号機の原子炉の水位が下がり、海水の注入開始。しかしポンプの燃料が無くなり、中断。20時頃から再開する。

 

2号機の冷却水が大幅に減少し燃料棒がすべてすべて露出。

●福島第一原発の正門付近で3130μsv/hの値を観測した。

2号機の原子炉格納容器圧力異常上昇により、国への通報を行った。

  

〇食料品の買出しに行ったが何も無い。

◆枝野官房長官は「1号機と同じ水素爆発であり、放射性物質が大量に飛散している可能性は低い」と発表。自衛隊6人をはじめとする11人が被曝。

◆原子力安全保安・保安院は20キロ以内に残る600人に避難勧告。

避難所での炊き出しに並ぶ人たち

315日(火)

0

 

 

 

 

1時頃

 

 

 

 

 

 

 

 

614

 

620分頃

656

825

9

938

1022

1059

1159

 

 

1225

 

 

 

 

 

 

2号機の格納容器内の圧力を低下させるため初のドライベント(放射性物質を水を通さずそのまま大気中に放出する弁の解放)を数分間実行。圧力が下がらなかった為、結果的に外部に流出していないと東京電力により推定された。

 

●茨城県にて初めて北部から徐々に南下する0.10.5μSv/h級の放射線量の有意な上昇を観測。

 

●茨城県において県北東部(日立市)から県東部(鉾田市)に向かって徐々に南下する高濃度放射線量が観測された。最大で550分に北茨城市で5.575マイクロシーベルト/時の高濃度放射線量が観測された。これに関連して、関東地方全域の広範囲で高濃度放射線量が初めて観測された。

 

3号機に関し、煙発生。4号機に関し、音がして壁の一部破損を確認

2号機に関し、圧力抑制室に損傷の疑い

4号機に関し、建屋の上が変形した模様

2号機に関し、建屋5階付近から白煙確認

●正門にて、最高の11930μsv/hのガンマ線を検出。

4号機に関し、建屋3階北西付近より火災確認

3号機に関し、周辺で400mSv/hの線量を測定

●オフサイトセンターに退避命令発出。福島県庁へ退避

●国土交通省は福島第一原発の半径30km以内の上空を高度に関わらず飛行禁止とした。ただし、人命救助や緊急物資の輸送のための航空機は対象外とされた。

4号機に関し、鎮火確認(翌日同場所にて再び火災を確認することになった)。

 

●群馬県衛生環境研究所(前橋市)の空間放射線量測定値が10時以降上昇し始め、13時には0.562マイクロシーベルト/時となった。以後翌16日深夜まで断続的に高い値が続いた。

  

SPEEDIの情報さえあれば・・

  

15日に高濃度のヨウ素やセシウムが降り注ぐ中、多くの子ども達が、少しでも家の役に立とうと、水をもらいに長い列に身を置いていた。「子どもの外出を禁ずる!」SPEEDIの報じられれば、浴びないで済む被曝だった。

2040 - 50分文部科学省は、住民に屋内退避指示が出されている福島県浪江町内の福島第一原発から約20キロの距離の山間部地点、川房・昼曽根・尺石の3ヶ所にて車内外で計測、195 - 330マイクロシーベルト/時の放射線量を観測したと316日に発表。

◆厚生労働省は、福島第一原発に限り、緊急作業に従事する労働者の放射線量の限度を100ミリシーベルト/年から250ミリシーベルト/年に引き上げた。なお、自衛隊員・消防・警察の上限は50ミリシーベルト/

316日(水)

545分頃

837

 

 

 

 

 

●福島第一原発4号機で315日に出火した部分で再び出火。

3号機で白煙が上がり、水蒸気が出たと推測された。

    

〇福島県立高校の合格発表・・・雪の中多くの高校生が制服の採寸のため外に並んで待っていた。雪と風の強い日で、頭には雪が積もっていた。

◇福島県災害対策本部によると、21時発表(環境放射能モニタリング測定値 可搬型モニタリングポスト 8報)の第一原発から20 - 40kmの地域での観測では、飯舘村役場の0時での383マイクロシーベルト/時が放射線量の最高値であった

317日(木)

948

 

 

 

 

 

 

 

 

195

 

●使用済み核燃料プールの水位が低下していた3号機に対し、陸上自衛隊第1ヘリコプター団のCH-47ヘリコプター2機が消火バケットを使い、計430トンの放水を行った。作業前、920分時点のモニタリングでは、高度300フィート(約90メートル)で87.7ミリシーベルト/時、高度1000フィートでは4.13ミリシーベルト/時と高い放射線量が検出されていたが、作業にあたった自衛隊員の浴びた放射線量は全員1ミリシーベルト以下であった。

 

●警視庁機動隊の高圧放水車、同35分からは自衛隊の各飛行場から集合した大型破壊機救難消防車と救難消防車が3号機に対して放水を行った。放水前の放射線量は3.630ミリシーベルト/時、放水後は3.586ミリシーベルト/時で、放射線量に大きな変化は見られなかった。

  

  「 ACのCMが流れ続けた 」

 

   「 甲状腺のチェック 」

318日(金)

14時前 - 1445

 

 

 

 

●自衛隊の消防車と東京電力の協力企業社員が操作する在日米軍提供の消防車を使い3号機に放水。2号機の非常用炉心冷却装置を復帰させるため、東京電力が外部送電線からの予備電源変電設備への受電を完了。建屋内への送電の準備を始めた。

 

 

 「 避難所での1週間が過ぎた・・・ 」

319日(土)

030 - 110

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1410分頃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●東京消防庁消防救助機動部隊が約350メートルにわたって手作業でホースをつなぎ、屈折放水塔車から3号機に向かって毎分約3トンを放水した。この結果、放射線量は放水を終えた段階でほぼ0ミリシーベルト/時に近い値にまで減少した。

●この日検出された放射性物質の1ccあたりの空気中の濃度は以下の通り。

ヨウ素131 - 5.9ミリベクレル

ヨウ素132 - 2.2ミリベクレル

ヨウ素133 - 0.05ミリベクレル

セシウム134 - 0.02ミリベクレル

セシウム137 - 0.02ミリベクレル

3号機に向け、ハイパーレスキュー隊が遠距離大量送水装置「スーパーポンパー」と屈折放水塔車を組み合わせた長時間の連続放水を開始した。作業は翌日の340分に終了し、放水時間は13時間半に及んだ。総放水量は約2430トンで、3号機プールの容量(約1400トン)を上回った。東京都によると、長期にわたる放水が行われるにあたっては、海江田万里経済産業大臣から東京消防庁ハイパーレスキュー隊幹部に対して「速やかにやらなければ処分する!」との指示が出されており、当初の放水予定の7時間を超える13時間35分に渡って放水を行ったために放水車が壊れる事態となった、としている

 

  

「 被災の中での卒園式・・・ 」

  

「被災地にガソリンが来たのは、関東の給油所に長い列が見られなくなってからだ。」

  

320日(日)

 

 

 

●防衛省は、放水活動で障害となっている瓦礫を撤去するため、放射線に対する防護能力が高く、機動性に優れた陸上自衛隊の74式戦車2両と78式戦車回収車1両の派遣を決め、1820分頃、支援車両とともに静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地を出発した。

  

  「アリーナが人で埋め尽くされた」

321日(月)

4時頃 - 5時半頃

 

 

 

610

 

●茨城県北東部(日立市)から茨城県東部(鉾田市)にかけて、再び高濃度放射線量の南下が観測された。鉾田市では、530分に最大2.908マイクロシーベルト/時が観測された。

 

●福島県楢葉町のJヴィレッジに陸上自衛隊の戦車が到着。

  

  「津波で流された遺体が車で来た」

322日(火)

 

 

 

 

 

 

2243

 

●原発から半径20 - 30km圏内の病院の入院患者や福祉施設の入所者ら1,638人の避難が完了。このうち908人は自衛隊や消防の協力で運び、残りの775人は家族らによる自主避難。家族が自主避難させた775人のうち3人が死亡。なお、南相馬市と広野町の2病院では、なお、容態が重い患者38人が残っている。

 

3号機中央制御室の室内照明が点灯。1 - 6号機、全てで外部電源を受電する準備が完了。

 

「普通のCMは4月末まで流れなかった」

323日(水)

 

 

 

●内閣府原子力安全委員会は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI)を使った試算を事故後初めて公表し、12日間の放射性ヨウ素による内部被曝線量が福島第1原発から20 - 30キロ圏で最高500ミリシーベルト、30キロ圏の外で最高100ミリシーベルトになる地点が、50km離れた福島県伊達市やいわき市でも100ミリシーベルトに達する地域がある可能性があると発表した。

 

●原子力安全委員会の「屋内退避及び避難等に関する指針」では、内部被曝が100 - 500ミリシーベルトの汚染が予想される範囲を屋内退避指示の基準としている。また、内部被曝が100ミリシーベルトを超えると、甲状腺疾患予防で安定ヨウ素剤の服用を求める指標とされている。しかしながら、枝野幸男官房長官は「直ちに避難や屋内退避をする状況ではない」とし、また、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は「屋内の被曝量は4分の1から10分の1に抑えられる」とした。

 

◆3月23日に福島第1原発事故後初めて原子力安全委員会が公表したSPEEDIによる放射性物質の拡散試算図がこれ↓

  

  

54

●細野豪志首相補佐官は4日午前のテレビ朝日の番組で、放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の未公開データについて「早い段階で公表すべきだった」と述べ、公表の遅れを認めた。ただ、「データを出さなかったことで、国民が被曝する状況を隠していたとか、国民の健康を犠牲にしたということはない」とも述べた。

  

細野豪志首相補佐官

 

 

    

ぼくの親友ERSS君はどうしたの?

ごめんごめん!そうだったね、SPEEDI君の親友ERSS君は「緊急時対策支援システム」と呼ばれ、原発事故を遠隔地から分析し、放射性物質がどのぐらい放出されるかを予測する開発費155億円の優れものだったね!ERSS君が放出の予測をして開発費125億円のSPEEDI君が拡散の予測に使うのだったね!二人が力を合わせれば280億円だから安心だ!あれ?ところでERSS君が住んでいるのは・・

緊急時対応センターでしょ!

そうだった!経済産業省の中の原子力安全・保安院のある3階の建物の1室にあって小じんまり練習する時もあるよ↑

でもどうして事故の時ぼくに情報をくれなかったの?

停電でまったく使い物にならなかったのさ。緊急時対応センターという名前のわりにビルの一室だし、155億円かけて「停電で使えない」と言う理由も信じられないものだね。

 

でももう1人の仲間オフサイト君がいるよ!

そうだね!オフサイトセンターは経済産業省原子力安全・保安院の所管であり、原子力緊急事態が発生した場合に、現地で、国の原子力災害現地対策本部都道府県及び市町村の災害対策本部などが、原子力災害合同対策協議会を組織し情報を共有しながら、連携のとれた応急対策を講じていくための極めて重要な拠点だよね!原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とし、原発事故における初期動作の迅速化や国と地方自治体との連携強化、防災対策における事業者の責任の明確化などを規定しているんだ。

大熊町 オフサイトセンター

でもどうして事故の時ぼくに情報をくれなかったの?

停電でまったく使い物にならなかったのさ。莫大なお金をつぎ込んで作られたオフサイトセンターは、平通常は管理人ぐらいしかいない。このオフサイトセンターが機能停止したため、福島県内各市町村への原発事故の際の避難指示や情報伝達が不可能になり、各市町村はテレビ・ラジオの情報を元に独自の判断で被災状況等を把握しなければなくて大変だったのだよ。センター内では中央政府からの適切な指示も伝わらなくなったので、普通にテレビで情報を得ていたらしい。

 

オフサイトセンターに到着した福島第一原子力保安検査官事務所長の横田は目を疑った。室内は真っ暗。地下にあった非常用電源のポンプは壊れ、停電していた。電話も通じない。原発とオフサイトセンターを行き来し、状況を逐一報告。横田が原発を出た時とは現場は一変していたんだ。「このままでは原子炉内の圧力が高くなる」「格納容器内の蒸気を抜くベントをしていいのか」。ベントは放射性物質の放出を意味する。「ベントしなければ格納容器が損傷する」。夜を徹した協議が続いたそうだよ。

 

オフサイト内の原子力災害現地対策本部は14日に計測した放射線量が毎時12マイクロシーベルトと高かったため、福島県庁に移転してしまったんだ。そのことを聞きつけた近隣の町長達は「危ない!」と感じ、自分達の判断で住民を避難させたんだ。避難にあたって現地対策本部が何らかの役割を果たしたという話は一切出てこなかったのさ。

 

福島県広野町の山田基星町長は、怒ってしまったんだよ・・「現地対策本部が撤退したのを知ったのは5日後の320日のことです!315日時点ですでに役場機能を他の町に移していて連絡が取れる状態だったにもかかわらず、連絡がなかった・・・まったく理解できません!」

 

「現地対策本部」の名にもかかわらず、何ら機能しないばかりか、周辺の町や村を見捨てて去って行ったんだ。日本のオフサイトセンターのほとんどが2キロ〜10キロ圏内に設置されている。有事には「オンサイトセンター」と言ってもいい近さにあるのは、事故現場を間近に、「命をかけて住民を守る」ためなんだ。逃げられない病人や、原子炉で命をかけて働くたくさんの人がいたのに残念な出来事だよね。

 

 

 

   じゃあぼくはどうやって予測したの?

それは簡単だよ!君は「ERSS」のデータを使わず、原発周辺の放射線の測定値から放射性核物質放出量を推定した、と報道されていたよ。問題は、当時は強い西風でほとんどの放射性核物質は太平洋に流されており、洋上に定点測定点を置かない限り、正しい放射性核物質放出量は把握できなかったと思う。SPEEDIの拡散予測は風向きによって放射線量は大きく変わるからね。

31217時〜19時予想           ◆31214時〜20時予想

 

 つまりぼくって役に立たなかったの?

そうかもしれないね!でも「ERSS」が機能していなくても、「SPEEDI」の君が機能していなくても、新世代「WSPEEDI」(Wスピーディ)による放射能影響予測図は、推定した放射性核物質放出量をもとに、遅くとも3月12日の1号機水素爆発の直後から、官邸に届けられていたことは確実だと思うよ。そんなに難しい作業でも、時間がかかる作業でもない。3月11日に福島第1の全電源が喪失し、「ERSS」が機能しないことが分かった時点から、それに代わる放射性核物質放出量を把握する方法を模索していたに違いない。ただしそれは、「SPEEDI」や「WSPEEDI」の技術者の能力が無くしてはありえないことだけれどね。事故が起こってからのSPEEDIはより正確な予測を生み出そうと技術者はがんばったし、その数値を確かめようと文科省は車を現地に走らせたんだ。もちろん被曝覚悟でね。

 

 

  ぼくはなぜ、みんなに公表されないの?

いい質問だねSPEEDI君! モニタリングとの実証を積ながら技術力が向上する中、2度目の爆発がおきて、東京にもおそろしいほどの拡散があった時、「さすがにこのデータを東京に公表したらパニックになる・・」と普通は思うだろうね。でも世論がSPEEDI君の存在に気づき始めて、公表しなくちゃならなくなった。それが323日のとりあえず発表できるデータの公表につながったのだと思うよ。 

 

上でも書いたけど、どんなに科学が進歩してもデータを入力したり、それを扱っていくのは生身の人間だから、それを扱う人間は、いつも「本当に災害時だ!」と思ってやらなくちゃいけない・・。だってその仕事にはたくさんの人間の命がかかっているのだからね。学校で行う避難訓練も同じだよ!真剣にやることが大切なんだ。

 

経産省の原子力安全・保安院のERSSもオフサイトセンターの国の原子力災害現地対策本部もまったく役に立たなかった。はじめに出てきたSPEEDI君の拡散予想はあまりにもお粗末で公表どころか信じるのも難しいものだったのだろう。そして膨大な税金をつぎ込んできたこの事業での失態を世に公表することができなかったのだとも思うよ。

 

それから、この答えとしてWIKIに「福島第一原子力発電所事故における試算」というのがあって、「SPEEDI100億円以上かけて開発され、事故後5,000枚以上の試算結果があったとされるが、試算なので国民の無用な混乱を招くだけと考えられたか結果が国民に公開されず、自治体が住民避難を計画する参考にも供されなかった」とあるよ。

ぼくをとりまく人間には、なぜミスが多いの?

 それもいい質問だね!まず、気になるのは文部科学省の予算が平成21年度から急増している。君達「SPEEDI」に関する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム調査」や、がれきに阻まれ動かすことさえできなかったモニタリングロボットや無人ヘリ開発を目的とした「緊急時モニタリング技術調査」がこの年から予算化されたことによるんだ。

 

平成21年度は「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム調査」と「緊急時モニタリング技術調査」で約8億円、22年度は10億円以上を計上しているんだ。そこにおこるさまざまな「業務委託」は、役人の権益確保、天下り先への便宜供与に結びついているものが少なくない。すべての省庁、そして地方自治体の「闇」でもあるんだ。

 

「誰かのために役に立ちたい」とがんばる人よりも「専門知識も無く、お金と出世に一生懸命な官僚」が国の大切な部分をいつも支配するようになった。そのつけが大きくふくらんで、この事故を取り返しのつかないものにしてしまったんだよ。 

 

でもね!良い出来事もあるんだ・・ドイツ・イタリア・スイスは福島の事故がもとになって原子力発電を廃止することに決めたんだ。「原発は危ない!」という、そこに住むひとりひとりの気持ちが、国を変えていくんだね。

 

「人類と核は共存できない」そのことさえ知っていれば、日本から原子力発電所が無くなって、SPEEDI君の活躍の要らない、本当に豊かで明るい未来がやってくると思うよ!

 

 

 

     最後まで見てくれてありがとう!

 

 

 

 PS もちろん、全てを知ってて「余計な誤解を生むから、外に漏らすなよ!」と踏ん張るこの二人も忘れてはいけないよね!