もう誰も驚かない・・
平成24年の4月末・・福島県福島市の中心にある信夫山の周囲を線量計で測っていました。私の家は信夫山のふもとなので、山の上や周辺を計ってはその都度記録をしています。しかし、私の家から徒歩5分にある御山小学校の付近は、原発事故から1年以上経っても普通に線量の高いエリアが存在します。小学校や団地が近いことから、このエリアは子ども達がたくさん集う場所なのです。 |
御山小学校隣のABC公園
|
この鉄棒の土台がABCなので皆この公園を「ABC公園」と呼びますが本当の名前はわかりません。右の写真の奥の赤い屋根の建物が御山小学校です。公園の後ろには団地もあるため、子ども達がここを待ち合わせの場所にしたりして遊んでいきます。買い物帰りにふと公園を見ると線量計が設置されていました。 |
|
線量計があちらこちらに設置されている光景は、福島市ではもう見慣れたものです。でも良く見ると1.328μsv/hあり驚きました。そしてまた、線量計は周囲を掘って設置するため周囲よりも低いこともあるのです。カップルと草むしりの方々が公園を出るのを待って中に入りました。 |
|
草が生えているところもあれば、子ども達が遊んでいるところは土が出ています。昔よりは利用者が減っているとは思いますが、ここは立ち入り禁止の公園ではなく、普通に使われているのです。遊具の上に線量計をのせると1.157μsv/hありました。 |
|
ブランコの上に線量計をのせると1.2μsv/hありました。ここには滑り台をはじめいろいろな遊具がありますが、遊具自体よりも土や草むらの線量が高いようです。ブランコのすぐ下の土の上に線量計を置くとすぐに1.8μsv/hになりました。 |
小学校から徒歩1分の清水学習センター
|
私が良く利用させていただいている清水学習センターです。ここはセンターのスタッフが皆親切なこともあり、大人も子どももたくさん利用しています。広い敷地には公園もあり、遊具で遊ぶ小学生や小さな子どもを連れて遊ばせに来るお母さん方が多いです。 |
|
敷地には2本の線量が設置されています。なぜ2本かと言うと最初の方に作られた線量計は誤作動が起きるからなのです。かなりの高額なものだと思いますが結構な数の失敗作があるのです。その隣の新しい方を見ると1.445μsv/hありさらに驚きました。まったく普通に高いのです。 |
|
学習センターの前にある遊具で子ども達は遊んでいます。少なくなってきたところを見計らって目の高さに線量計を置いて撮影すると、1.2μsv/hでした。ここは草むらとちがって土の上なのでもう少し低いことを予測していたのですが線量系は少し上がったり下がったりを繰り返しました。 |
|
さっきまで小さな女の子とお母さんがぎっこんばったん(シーソー)していた草むらに寄ってみました。美しい花を咲かせた木を支える添え木に線量計をのせてみました。1.503μsv/hありました。遊具は0.8〜1.2μsv/hほどあります。公園など、線量が高いところで地べたに座っていけないのは、生殖機能に直接影響があるからです。シーベルトの単位そのものが体に影響を与える臓器レベルのものだからです。公園にしても遊具にしてもこの数値で平気で遊ばせることには疑問がもたれます。 |
みんなが毎日使う場所なのに・・
|
行政は立派です。あちこちに高価な線量計を設置して下さるのですから。いわゆる「きちんと数値は把握していますよ」言い換えれば「警告はしましたよ」にとれました。でも1.445μsv/hある公園というのは年間にすると12658μsv/hになります。つまり年間12.6ミリシーベルトの被爆です。チェルノブイリ事故でロシアが住民を強制移動させたのは年間5ミリシーベルト以上の土地です。東京なら大問題になり立ち入り禁止になるのではないでしょうか? なぜ福島では普通にOKになってしまうのでしょうか? 学校の表土は剥がし線量が下がりました。でも公園の芝や表土は手も入らずに入場の制限すらないのです。こういう場所がたくさん放置されたままなのです。 そして何よりも怖いのは、こういう状況に誰も驚かなくなっていくことだと私は考えます。 |
〇